“温泉愛好家”必見!山口県の温泉の特徴や魅力について教えます

2025年2月14日

こんにちは!“絶対温感”をもつ温泉専門家の北出恭子です。
国内外の温泉を年間300湯以上めぐりながら、日々、温泉研究に励んでいます。

山口県内には歴史的な名湯が多く、
住吉大明神からのおつげによって開湯されたとされる県内最古の「長門湯本温泉」、
怪我をした白狐が温泉で足を癒していたことで発見されたと伝えられる「湯田温泉」、
神功皇后が周防灘を航海中に立ち寄り、熱を出した皇子を温泉で治療した伝説が残る「湯野温泉」は「防長三名湯」といわれており、いずれも県内を代表する歴史的温泉地です。

環境省・令和4年度温泉利用状況によると、山口県は 41ヶ所の温泉地、404ヶ所の源泉数、23,360ℓ/分の湧出量があり、これは中国・四国地方の中では温泉資源に恵まれた地域であるといえます。

さらに、25℃未満の冷鉱泉の数が全国で2番目に多く(源泉数に対する割合は全国1位)、404ヶ所ある源泉のうち 284 ヶ所が 25℃未満の冷鉱泉という“ひんやり温泉”が多いエリアです。

環境省が定める日本の泉質は 10 種類に分類されていますが、筆者の独自調査において、山口県にはそのうち、単純温泉・塩化物泉・硫黄泉・炭酸水素塩泉・放射能泉・二酸化炭素泉・含鉄泉という 7種類類もの多彩な泉質が存在しています。
その中でも角質や皮脂を除去する働きがあるとされ、一般的に「美肌の湯」と呼ばれることの多い pH8.5 を超えるアルカリ性単純温泉の比率が非常に高いのが山口県の最大の特徴と言えるでしょう。また、先行研究によると、全国的にみて山口県は放射能泉の割合が高いのも特筆すべきでしょう。

また、山口県は、三方を海に囲まれ、内陸部は中国山地が横断しており、海辺の絶景温泉や、山や川に恵まれた森林の温泉など、豊かな自然環境に恵まれた風光明媚な温泉地が多いため、温泉成分による温浴効果だけではなく、『転地作用(心理的効果)』も期待できます。
この『転地作用』は、日常から離れて自然環境の良い場所に身をおくことで五感に刺激を受け、自律神経やホルモンなどのバランスを自らの力で整える効果のことで、心身のストレス解消や疲労回復などに繋がります。

例えば、緑いっぱいの森林浴ができるような温泉は、リフレッシュ効果や、活気・活力を起こす効果などが報告されています。
また、海沿いの温泉ではイライラなど高ぶった神経を鎮めて心を安定させ、リラクゼーション効果を高めてくれるなど、自然環境によっても心理的効果は異なります。

山口県では、山の温泉と海の温泉のどちらも楽しむことができるのも大きな魅力です。

 山口県の温泉には、特徴的な泉質・自然環境・歴史など、他県とは一線を画す“強み”があります。
今後は、山口県ならではの温泉資源や自然環境などを正しくかつ効果的に活かしたより一層の取り組みや情報発信ができればと考えます。

温泉家・北出恭子(おんせんか・きたできょうこ)
杏林大学地域総合研究所客員研究員


温泉家 北出恭子

プロフィール
“絶対温感”をもつ温泉専門家。泉質の“利き湯”による分析・評価をしながら、国内外の温泉を年間300以上入湯している知見を活かし、大学院博士課程にて温泉研究を行う。
数多くのメディア出演や講演などで温泉の魅力を世界に発信している。大学講師や観光行政の有識者も多数歴任。また、スプリングラボ合同会社CEOとして、泉質評価や温泉資源を活かした温泉地づくりのアドバイザリー事業、温泉施設での設計プランニングや入浴プログラム造成、温泉プロダクト開発の監修などのコンサルティング事業を行っている。著書「九州絶品温泉、ドコ行こ?」。

[北出恭子HP]